夏になると、
「せっかくだから、どこかへ出かけたい」
「夏らしいことをしておきたい」
「今年も海に行きたい」
「休みの間に、何か思い出を作りたい」
そんな気持ちになることがあります。
海や花火、旅行、夏祭り、バーベキュー。
夏にしかできないことを楽しむのは、もちろん素敵なことです。
けれど一方で、暑さで少し疲れていたり、外へ出るより家で静かに過ごしたかったりするのに、
「夏なのだから、楽しまなくては」
という気持ちに押されて、予定を増やしてしまうことはないでしょうか。
特に40〜50代になると、若い頃と同じように予定を詰め込むことが、必ずしも心地よいとは限りません。
今年の自分は、何をしたいのか。
どのくらい動くと心地よいのか。
あるいは、今年はあえて何もしない方が心地よいのか。
夏の過ごし方も、「夏らしさ」に自分を合わせるのではなく、今の自分に夏を合わせていく。
今回は、そんな夏の暮らし方について考えてみたいと思います。
「夏だから」という言葉で、予定を増やしていませんか
夏は、ほかの季節以上に「今しかできない」という感覚が生まれやすい季節です。
海へ行ける時期は限られている。
夏祭りも花火大会も、その日しかない。
長期休暇だから旅行へ行ける。
そのため、
「行っておいた方がいい」
「やっておいた方がいい」
「せっかくの夏なのにもったいない」
と考えやすくなります。
けれど、本当に行きたいかどうかと、
「夏だから行っておかなければ」と思っているかどうかは、少し違います。
たとえば、以前は毎年楽しみにしていた海も、今年はそこまで気持ちが向かないことがあります。
旅行が好きでも、今年の夏休みは家でゆっくりしたいこともあるでしょう。
反対に、普段は出かけない人が、今年は夏祭りへ行きたいと思うこともあります。
大切なのは、「去年までどうしていたか」ではなく、今の自分がどう感じているかです。
好きなことも、毎年同じように楽しむ必要はない
少しややこしいのは、嫌いなことではなく、好きなことだからこそ手放しにくい場合です。
旅行が好き。
海が好き。
人と集まるのが好き。
夏のお出かけも好き。
だから、
「今年は行かなくてもいいかな」
と思った自分に、少し戸惑うことがあります。
「私、変わってしまったのかな」
「体力がなくなったのかな」
「せっかく好きだったのに」
そんなふうに考えることもあるかもしれません。
でも、好きなものを毎回同じ量、同じ頻度、同じ形で楽しむ必要はありません。
好きなことにも、今の自分に合う距離があります。
海が好きでも、今年は一度で十分かもしれません。
旅行が好きでも、遠出より近場で一泊する方が心地よいかもしれません。
あるいは今年は、どこにも行かず、涼しい部屋で好きな音楽を聴くことの方が満たされるかもしれません。
好きなものとの付き合い方が変わることも、暮らしが変化している一つのサインです。
「楽しむこと」が、いつの間にか予定になってしまう
本来、楽しみは自分を満たしてくれるものです。
ところが、
・旅行へ行くための準備
・暑い中での移動
・人が多い場所で過ごす時間
・帰宅後の片づけ
・前後にたまる仕事や家事
まで含めて考えると、楽しみそのものより、その周りにある負担の方が大きくなることがあります。
「行けば楽しい」
けれど、
「行くまでと、帰ってきてからが大変」
ということもありますよね。
そんな時は、「楽しいか、楽しくないか」だけで決めるのではなく、
その予定を含めた数日間を、自分が心地よく過ごせるか
まで考えてみます。
一日のイベントだけを見るのではなく、その前後まで含めて暮らしを眺めてみる。
それだけでも、予定の選び方は変わってきます。
「せっかくだから」は、本当に自分の気持ち?
何かを迷った時に、
「せっかくだから」
という言葉が出てきたら、一度立ち止まってみるのもよいでしょう。
たとえば、
「夏なのだから、何かしておきたい」
「休みなのだから、出かけたい」
「ここまで来たのだから、やっておこう」
「せっかく誘ってもらったのだから、行った方がいい」
そんなふうに、さまざまな場面で「せっかく」という気持ちが顔を出します。
もちろん、「せっかくだから、やってみよう」が自分を楽しい場所へ連れていってくれることもあります。
ただ、ときにはその言葉が、本当は休みたい自分を動かす理由になっていることもあります。
そんな時は、
「せっかくだから」を一度外して、
「私は今、これをしたい?」
と考えてみます。
行きたいなら行く。
今日は違うと思えばやめる。
決めていた予定でも、その日の自分に合わなければ変更する。
夏を楽しむことより、自分の感覚を置き去りにしないことを優先してもよいのです。
「夏らしさ」から離れることは、性格の問題ではない
こうした話をすると、
「私は断れない性格だから」
「予定があると、つい全部やってしまう」
「せっかくだと思うと手放せない」
と感じる方もいます。
けれど、これは単純に性格だけの問題ではありません。
どんな予定に「行かなければ」と感じるのか。
何をやめると罪悪感が出てくるのか。
自分が本当に楽しみにしていることと、習慣で続けていることは何か。
誰かの期待を優先している予定はないか。
そして、どのくらいの活動量なら今の自分に余力が残るのか。
こうしたことを一つずつ分けていくと、整理して扱える部分が見えてきます。
エトワールのセッションでも、こうしたテーマでは、いきなり「予定を減らしましょう」と決めるわけではありません。
まず、今どんな予定があり、その中に「本当にやりたいこと」「習慣でしていること」「誰かに合わせていること」「負担になっていること」がどのくらい含まれているのかを一緒に整理します。
そのうえで、今の体調や仕事、家族との暮らしも含めて、その人が無理なく続けられる形を考えていきます。
必要なのは、何でも断れる強い人になることではありません。
自分には何がちょうどよいのかを知り、その感覚を暮らしの中で使えるようにすることです。
夏休みを「充実させる」必要もない
長い休みがあると、
旅行。
帰省。
レジャー。
友人との予定。
家族との時間。
普段できないこと。
と、空白を埋めたくなることがあります。
予定表がいっぱいになると、「充実した夏休み」のようにも見えます。
けれど、
何も予定のない朝にゆっくり起きる。
暑い午後は家から出ない。
気が向いたら音楽を聴く。
簡単な食事を作って食べる。
昼寝をする。
夕方に少し散歩する。
そんな日も、十分に夏休みです。

むしろ普段、仕事や家事、人との約束で時間が埋まりやすい方ほど、予定のない時間そのものが貴重な休息になることがあります。
何か特別なことをしなければ、休みを無駄にしたことになるわけではありません。
予定は「行く・行かない」の二択にしなくていい
夏の予定を軽くするというと、
全部やめる。
誘いを断る。
旅行をしない。
という極端な選択を思い浮かべることがあります。
でも、暮らしを整える時に大切なのは、ゼロか100かで考えないことです。
たとえば、
二泊の旅行を一泊にする。
朝から夜まで出かけず、夕方には帰る。
いくつかあるイベントから一つだけ選ぶ。
予定の翌日は何も入れない。
当日の体調を見て最終的に決める。
「絶対に行く予定」ではなく、「行けそうなら行く予定」にする。
こうした調整もできます。
夏を楽しむために、自分を予定へ合わせるのではなく、自分が楽しめる大きさまで予定を小さくするのです。
「今年はやらない」を選んでも、好きなものはなくならない
毎年していたことをしないと、
「今年を逃したら、もうできない」
ような気持ちになることがあります。
けれど、多くの楽しみは、今年一度休んだからといってなくなるわけではありません。
来年の夏にまたしたくなるかもしれません。
数年後、違う形で楽しみたくなるかもしれません。
今までとは違う楽しみが見つかることもあるでしょう。
今したくないものを無理に続けるより、
「またしたくなった時にしよう」
と一度置いておく。
そんな軽さがあってもよいのだと思います。
暮らしの中には、ずっと続けるものと、その時々で距離が変わるものがあります。
「好きだから続ける」だけではなく、「今も好きだから選ぶ」。
その方が、好きなものを長く好きでいられることもあります。
気づくだけでなく、暮らしの中で使える形にする
「自分の気持ちを大切にしよう」
「無理をしないようにしよう」
そう思っていても、実際の予定を前にすると、
「でも、せっかくだし」
「みんな楽しみにしているし」
「行けばきっと楽しいし」
と、元の選び方へ戻ることがあります。
それは珍しいことではありません。
長く続けてきた習慣や、人との関係の中で身についた選び方は、気づいただけですぐに変わるとは限らないからです。
だからこそ、こうしたテーマは、考え方だけで終わらせず、
どの予定を残すのか。
どう断るのか。
家族へどう伝えるのか。
どこまでなら楽しめるのか。
翌日に何も入れないようにするのか。
当日の変更を自分に許すのか。
といったところまで、実際の暮らしに落とし込んでいくことが大切です。
一人で考えていると、いつの間にか「これくらいは頑張れるから」と元のパターンへ戻ってしまう方は、安心して整理できる場を持つことも一つの方法です。
「夏だから」ではなく、「私はどうしたい?」を基準にする
この夏、すでに予定がたくさん入っている方もいるでしょう。
反対に、ほとんど予定がない方もいるかもしれません。
大切なのは、予定の数ではありません。
その予定を見た時、自分の中にどんな感覚があるかです。
楽しみ。
嬉しい。
行きたい。
という感覚があるなら、その気持ちを大切にしてよいでしょう。
一方で、
少し面倒。
できれば家にいたい。
予定がなくなったら、ほっとする。
そんな感覚があるなら、それも大切な情報です。
「夏なのに」と打ち消す前に、一度その感覚を聞いてみます。
この夏に試したい、3つの小さな整理
夏の予定を全部見直す必要はありません。
まずは、次の三つだけでも十分です。
「夏だから」を外して考える
予定を一つ選び、「夏でなくても、私はこれをしたい?」と考えてみます。
それでもしたいなら、きっと今の自分が楽しみにしていることです。
予定の前後まで見る
その時間だけではなく、準備、移動、帰宅後、翌日の疲れまで含めて考えます。
「楽しめるけれど、少し軽くした方がよさそう」という調整が見つかることがあります。
何もしない日を予定に残す
空いている日に、別の予定を入れなくても構いません。
予定がないことを、「まだ空いている」と考えず、休むための時間として残してみましょう。
まとめ|夏は、自分に合う分だけ楽しめばいい
夏には、海、旅行、花火、イベントなど、この季節ならではの楽しみがたくさんあります。
だからこそ、知らないうちに、
「夏を楽しまなければ」
「せっかくだから出かけなければ」
という気持ちが生まれることがあります。
でも、夏の過ごし方は毎年同じでなくても構いません。
以前好きだったことを今年はしなくてもいい。
予定を減らしてもいい。
当日に気が変わってもいい。
そして、何もしない夏の日があってもいいのです。
夏を楽しみきることより、この夏を自分らしく過ごせたと感じられること。
「夏だから」ではなく、
「今年の私は、どう過ごしたい?」
と自分に聞きながら、今の体や気持ち、暮らしに合う夏を選んでいきましょう。
さいごに
夏になると、つい予定を詰め込んでしまう。
本当は休みたいのに、「せっかくだから」と動いてしまう。
以前は楽しかった過ごし方が、最近少ししんどくなってきた。
自分に合う暮らし方へ変えたいけれど、何をどう変えればよいのか分からない。
そのように感じる方へ。
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